第31話 伝統に固執すると衰退する

第8章 太鼓は進化する(おわりに)

第31話 伝統に固執すると衰退する
 
いろいろ書いてきましたが,ついに最終章です。
数ある太鼓チームを2つに大別すると「伝統系」と「創作系」に分かれるようです。
私達の会は後者ですね。
 
いろんなところで太鼓で打っていると
伝統的なお囃子の会と一緒になることも多い訳ですが,
稀に「あんたがたの太鼓は邪道だ」と言われることがあります。
歴史や伝統が無い,その場限りの太鼓だという訳です。
 
私はこの考えには反対ですね。
確かに,素晴らしい芸能だから今の時代まで生き延びてきた,
というのは事実と思います。
でも,伝統的に「こう打っているから,これが正しい」は正しいでしょうか?
前にも書きましたが,太鼓には○○流とかいう流派は無いんです。
 
例えば,江戸時代の若者が,
鎌倉時代の打法を「これが正しい」と言って打っていたでしょうか?
太鼓は庶民の楽器なのです。
いつの時代だって,「他の奴には負けないぞ!」って,
強面の若者が精一杯の打法で打っていたに違いないんです。
いつの時代でも文化をリードするのは若者です。
 
伝統的なお囃子も,その時代の若者に「カッコイイ」と共感されるような
曲想・打法に様変わりしていくのが,
伝統・文化の正しい継承なのではないかと,私は思います。 

(2007年4月30日)
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